さくら一粒
大方、駅に向かうなら送っていってやれと言われた女の子だろう。

そんなことに誤解して嫉妬するような馬鹿じゃない。

でも会社を出る前に今から向かうくらいの連絡があってもいいだろうと思う。

それさえも怠るような相手に自分は位置されているのだ。

そう思うとどうでもよくなった。

心底そう思った。

「もしもし?」

「あ~やっと出た!どこにいる!?」

「…駅。」

「ロータリーにいるから、すぐに出てこいよ!」

「何怒ってんの?あ、残業終わったってメールくれてた?」

「…いや。とにかく、ロータリーにいるから。」

自分勝手な怒り。

案の定、そ知らぬふりの返しをすれば言葉に詰まっていた。

「くだらない。」

本当にくだらない。

何だったんだろう、今までの自分は。

時間ん確認するとまだ終電には余裕がある。

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