俺様☆キング
イラつき
【慧side】
音子に別れを告げられた次の日、俺は乃亜に呼び出された。
『お前となんか出掛けねぇよ』って強く言い放したら電話越しで乃亜は大泣きした。泣かれんのもめんどくせぇから出掛けてやる事にした。
正直今の俺は…いや昨日からか…虫の居所が悪い。
『なんで音子は突然、別れなんて…』って思うと小さい事でもイライラする。
「けぇい~」
駅前に10時集合…。バックレてやろうと思ったが家に居ても1人でイライラしてるだけだから丁度良いかもしれないな。
乃亜はヒラヒラしたワンピースを着て小走りで走ってきた。
「ごめんー、待ったぁ?」
「…別に…」
「何ぃ? その態度ぉ?」
「…」
うぜぇ…、やっぱ来んじゃなかった。
乃亜は勝手に俺の腕にしがみ付いて歩きだした。
「乃亜ねぇ、今日ぉ、駅前のカフェとジュエリーショップに行きたいのぉ」
「…あっそ」
「んもぉ~、ちゃんと付き合ってよねぇ」
ダルさを感じながらカフェに入って約1時間位、乃亜の愚痴や自慢話に付き合わされ、その後ジュエリーショップに行き約一万位するネックレスをねだられた、かたくなに俺は断ったが余りのしつこさに面倒になり一番安い2000円のネックレスを買ってやった。
「うふふーん」
ネックレスを見て妙に微笑む乃亜。ネックレスごときで女ってこんなに喜ぶのか…?
でも俺も音子にネックレスあげたな…。もう捨てちまってるか…。
ふと音子の事を思い出したら、またイライラして来た。
少し前を歩く乃亜がいきなり止まった。
「ねぇ、慧! ここ入ろう!」
乃亜が指差したのは最近出来たと言うアウトレットだった。
俺は人混みを見て更にイライラした。
「ねぇー慧ってばぁ」
乃亜は俺の腕をブンブン左右に振り回して甘え出した。
「…んだよ、うぜぇな」
「帰る前にアウトレット寄って行こうよぉ」
「は? だりぃ」
「いいじゃん、行こうよぉ」
わがままを言う乃亜にいつに痺れを切らした。
「いい加減、離せよ。俺は忙しいんだよ」
「…何に忙しいって言うの? 彼女との約束?」
彼女…。今その話はしたくねぇ…。
「…そう…だよ、悪いかよ」
とっさに出た嘘だった。
「彼女なんていないくせに」
「あ?」
「音子ちゃんと別れたくせに、まだ未練でもある訳!? やだ慧、おっもーい」
何もかも見透かされてる乃亜に…。
乃亜の一言がやけに胸に刺さった。
「…ねぇよ」
「えっ…今なんて…?」
「だから…未練なんてねぇって」
「嘘つけぇ、顔に書いてあるよ? 『音子がまだ好き』ってね」
「ねぇって言ってんだろ! あんな女に未練なんて抱くかよ」
言い放った言葉の意味を言った後に気付いた。
頭の中が真っ白だった。乃亜がおちょくってる事だって分かってた…けど、やたら乃亜の言葉がスッと耳に入って来て胸をえぐった。
気付いたら俺は走っていた。そして後ろには、もう乃亜は…いなかった。
俺は、その日以来、冬休みは家を出る事はなかった。
-冬休み明け-
まだ肌寒い日々、特に久々って訳でもないのにすれ違う友達が懐かしく思えた。
教室に向かう途中の廊下、俺はボーっとして歩いていた。
ドンッ。
ヤバッ! 俺がボーっとしてたから誰かとぶつかった。その衝撃でぶつかった相手が転んでしまった。
「わりぃ…大丈夫か」
手を差し伸ばして顔を見たら…少しの驚きと戸惑いの表情を浮かべた音子が俺を見ていた。
「…」
俺は何も言えずに…そして差し伸ばした手を、どうする事も出来ずに音子に差し伸ばしたままでいた。
「…結構です…」
「…は?」
音子は俺の顔も見ようともせず一人で立ち上がり、その場から立ち去った。
掴まれる事も頼られなかった事も無かった俺の右手は行き場を無くした。
「…んだよ、そんなに俺が嫌いかよ…」
俺の性格は音子と別れてから捻くれたと思う。
いつからか俺は音子に怒りすら感じた。
俺はその日、放課後になるまで保健室にずっといた。ただただ怒りと戦っていた。
放課後、俺しかいない保健室に誰かが来た。
「…慧…?」
どこか聞き覚えのある声が俺を呼んでいた。
…音子か…。俺を探してきたのか? 俺を必要としてるのか? そう淡い想いを抱いたが無駄だった。開けられたカーテンの隙間から見えたのは…乃亜だった。
「慧…ここにいたの…」
「…んだよ、なんの用だ」
「…私と付き合おう」
ベッドに座っている俺の隣に乃亜は座った。
「は?」
「私なら慧に、こんな辛い思いさせない! ずっと傍にいる! 私ずっと慧が忘れられないのっ! だから…だから…」
はっ…。乃亜もよくこんな男が好きだよな、笑える。もう俺は考える事も感情すら無かった。
同時に保健室のドアが開いた。
「先生いますかー?」
保健室に生徒が入ってきたと同じタイミングで俺は乃亜を抱きしめた。
もちろん、保健室に入ってきた生徒が…音子だって事も分かってる。例えベッドがカーテンに覆われて姿が見えなくても声だけで分かる…音子だって…。
「いいぜ、乃亜。俺達付き合おう」
「えっ!?」
「んだよ、嫌なのか?」
「ううん!! 超嬉しい! 大好き慧っ!」
「俺も…愛してる…」
俺はわざと音子に少しだけ聞こえる様に話した。
そして乃亜が顔を近づけてきた。俺もそれなりにキスする態勢に入ったが…パタパタと音子が保健室を出て行く気配がした為、俺は乃亜を退けた。
「んもぉ~慧の照れ屋さん」
「…今のは嘘だ」
「は? 何言ってんの」
「付き合うってのは嘘」
「冗談じゃない。付き合うって言ったのは慧だからね! 責任取って貰うからね」
乃亜の言ってる事が今度は全く耳に入らなかった。
「…もう、勝手にしろよ。…お前の好きなように…」
この時の俺はある意味、意固地になっていた。
音子に別れを告げられた次の日、俺は乃亜に呼び出された。
『お前となんか出掛けねぇよ』って強く言い放したら電話越しで乃亜は大泣きした。泣かれんのもめんどくせぇから出掛けてやる事にした。
正直今の俺は…いや昨日からか…虫の居所が悪い。
『なんで音子は突然、別れなんて…』って思うと小さい事でもイライラする。
「けぇい~」
駅前に10時集合…。バックレてやろうと思ったが家に居ても1人でイライラしてるだけだから丁度良いかもしれないな。
乃亜はヒラヒラしたワンピースを着て小走りで走ってきた。
「ごめんー、待ったぁ?」
「…別に…」
「何ぃ? その態度ぉ?」
「…」
うぜぇ…、やっぱ来んじゃなかった。
乃亜は勝手に俺の腕にしがみ付いて歩きだした。
「乃亜ねぇ、今日ぉ、駅前のカフェとジュエリーショップに行きたいのぉ」
「…あっそ」
「んもぉ~、ちゃんと付き合ってよねぇ」
ダルさを感じながらカフェに入って約1時間位、乃亜の愚痴や自慢話に付き合わされ、その後ジュエリーショップに行き約一万位するネックレスをねだられた、かたくなに俺は断ったが余りのしつこさに面倒になり一番安い2000円のネックレスを買ってやった。
「うふふーん」
ネックレスを見て妙に微笑む乃亜。ネックレスごときで女ってこんなに喜ぶのか…?
でも俺も音子にネックレスあげたな…。もう捨てちまってるか…。
ふと音子の事を思い出したら、またイライラして来た。
少し前を歩く乃亜がいきなり止まった。
「ねぇ、慧! ここ入ろう!」
乃亜が指差したのは最近出来たと言うアウトレットだった。
俺は人混みを見て更にイライラした。
「ねぇー慧ってばぁ」
乃亜は俺の腕をブンブン左右に振り回して甘え出した。
「…んだよ、うぜぇな」
「帰る前にアウトレット寄って行こうよぉ」
「は? だりぃ」
「いいじゃん、行こうよぉ」
わがままを言う乃亜にいつに痺れを切らした。
「いい加減、離せよ。俺は忙しいんだよ」
「…何に忙しいって言うの? 彼女との約束?」
彼女…。今その話はしたくねぇ…。
「…そう…だよ、悪いかよ」
とっさに出た嘘だった。
「彼女なんていないくせに」
「あ?」
「音子ちゃんと別れたくせに、まだ未練でもある訳!? やだ慧、おっもーい」
何もかも見透かされてる乃亜に…。
乃亜の一言がやけに胸に刺さった。
「…ねぇよ」
「えっ…今なんて…?」
「だから…未練なんてねぇって」
「嘘つけぇ、顔に書いてあるよ? 『音子がまだ好き』ってね」
「ねぇって言ってんだろ! あんな女に未練なんて抱くかよ」
言い放った言葉の意味を言った後に気付いた。
頭の中が真っ白だった。乃亜がおちょくってる事だって分かってた…けど、やたら乃亜の言葉がスッと耳に入って来て胸をえぐった。
気付いたら俺は走っていた。そして後ろには、もう乃亜は…いなかった。
俺は、その日以来、冬休みは家を出る事はなかった。
-冬休み明け-
まだ肌寒い日々、特に久々って訳でもないのにすれ違う友達が懐かしく思えた。
教室に向かう途中の廊下、俺はボーっとして歩いていた。
ドンッ。
ヤバッ! 俺がボーっとしてたから誰かとぶつかった。その衝撃でぶつかった相手が転んでしまった。
「わりぃ…大丈夫か」
手を差し伸ばして顔を見たら…少しの驚きと戸惑いの表情を浮かべた音子が俺を見ていた。
「…」
俺は何も言えずに…そして差し伸ばした手を、どうする事も出来ずに音子に差し伸ばしたままでいた。
「…結構です…」
「…は?」
音子は俺の顔も見ようともせず一人で立ち上がり、その場から立ち去った。
掴まれる事も頼られなかった事も無かった俺の右手は行き場を無くした。
「…んだよ、そんなに俺が嫌いかよ…」
俺の性格は音子と別れてから捻くれたと思う。
いつからか俺は音子に怒りすら感じた。
俺はその日、放課後になるまで保健室にずっといた。ただただ怒りと戦っていた。
放課後、俺しかいない保健室に誰かが来た。
「…慧…?」
どこか聞き覚えのある声が俺を呼んでいた。
…音子か…。俺を探してきたのか? 俺を必要としてるのか? そう淡い想いを抱いたが無駄だった。開けられたカーテンの隙間から見えたのは…乃亜だった。
「慧…ここにいたの…」
「…んだよ、なんの用だ」
「…私と付き合おう」
ベッドに座っている俺の隣に乃亜は座った。
「は?」
「私なら慧に、こんな辛い思いさせない! ずっと傍にいる! 私ずっと慧が忘れられないのっ! だから…だから…」
はっ…。乃亜もよくこんな男が好きだよな、笑える。もう俺は考える事も感情すら無かった。
同時に保健室のドアが開いた。
「先生いますかー?」
保健室に生徒が入ってきたと同じタイミングで俺は乃亜を抱きしめた。
もちろん、保健室に入ってきた生徒が…音子だって事も分かってる。例えベッドがカーテンに覆われて姿が見えなくても声だけで分かる…音子だって…。
「いいぜ、乃亜。俺達付き合おう」
「えっ!?」
「んだよ、嫌なのか?」
「ううん!! 超嬉しい! 大好き慧っ!」
「俺も…愛してる…」
俺はわざと音子に少しだけ聞こえる様に話した。
そして乃亜が顔を近づけてきた。俺もそれなりにキスする態勢に入ったが…パタパタと音子が保健室を出て行く気配がした為、俺は乃亜を退けた。
「んもぉ~慧の照れ屋さん」
「…今のは嘘だ」
「は? 何言ってんの」
「付き合うってのは嘘」
「冗談じゃない。付き合うって言ったのは慧だからね! 責任取って貰うからね」
乃亜の言ってる事が今度は全く耳に入らなかった。
「…もう、勝手にしろよ。…お前の好きなように…」
この時の俺はある意味、意固地になっていた。