俺様☆キング
悪魔のピリオド
【慧side】
及川に殴られた左頬が少しジンジンと痛む。
もうすぐ2月だって言うのに、まだまだ寒い。時刻はとっくに4時を回っていて生徒は、ほぼいない感じ。寒い廊下を全力で走り抜けた。
「慧っ!」
廊下を走っていたら誰かとすれ違いざまに呼び止められた。
ったく…こんな時に誰だよ…。
振り返ると…そこには少し息を切らした乃亜だった。
「…どこにいたの…。探したんだから」
ここで会ったのも運だ。決着付けてやるよ。
「…あぁ、丁度良かった、話がある」
「…何」
表情一つも変えないで凄い目力で俺を睨んだ。
「俺、やっぱり音子が好きだ。だからお前とも、これっきりだ」
「は? ふざけないで。自分が何言ってるのか分かってんの?」
「ふざけてねぇよ」
「…そんなの許さないっ…」
「お前に許すも何ねぇよ」
「…ひどい。最低だわっ!」
「最低なのはどっちだよ!?」
「は…!?」
「お前、音子に何したんだよ!? アイツをイジメて俺から離させようとして…そんなんで俺が音子を忘れてお前に振り向くと思ってんのかよ!?」
「っ! …好きなんだもん。だって慧の事が誰よりも大好きなんだもん! なんであんな子に負けなきゃいけないの!? 乃亜の方が、ずっとずっと慧の事愛してるのにっ…」
その場に乃亜は泣き崩れた。
「…音子は弱いくせに強くなろうとしてるんだ。一人で大丈夫って虚勢を張ってるんだ。…でも本当は誰かに支えて欲しくて仕方ないヤツなんだよ…。そんなヤツを俺はずっと好きだった。これからもアイツを俺が一番近くで支えてやりたいんだ」
「…支えるのが慧じゃなくてもいいじゃない…」
「…確かにな…。音子が俺を必要としてなくても…俺が音子を必要としてるんだ」
「…うぅ…」
「俺の気持ち分かってくれるか…?」
「……分かるよ。乃亜が慧じゃなきゃダメなように…慧もあの子じゃなきゃダメって事でしょ?」
「あぁ…」
「もう…何を言っても無理なんでしょ…?」
「…ごめん」
「…あーあ、失恋しちゃった」
そう言って乃亜は涙を拭って天井を見た。
「…本当にごめん。悪いのは音子でも乃亜でもない…俺だから。乃亜が気が済むまで殴っていいよ」
「…ううん。音子ちゃんをイジメたのは事実だし…でももうしないから。その変わり、今度良い男紹介してよね!」
「…おぅ」
「…音子ちゃん、一人で寒そうだったよ。早く行きな?」
「…サンキュー…乃亜」
俺は、それだけを言い乃亜のすすり泣きの音を背に走り出した。
…ごめん、乃亜。乃亜もずっと苦しかったんだよな…。気付いてやれなくてごめん。きっと乃亜には良い男紹介してやるから、だからそれまで…ごめんな。
無我夢中で廊下を走り寒い廊下に俺の温かい吐息だけが残る。
…やっと…着いた。3階の奥の空き教室…。
音子、ごめん。こんな最低な俺を許してくれるか…? さんざん傷付けて一人で泣かして…それでも俺がお前を必要としてるから…手放してやれないんだ。
きっとこれからも傷付ける事、泣かせる事、たくさんしちまうんだろう…って思うとやっぱり離れた方が良いって思った。けど、そんな理由で別れられるほど俺は大人じゃねぇんだ。
音子が好きだ。どうしようもなく大好きでしかたないんだよ。
俺も気持ち全て伝えるから、音子も俺に音子の全ての気持ちぶつけてくれ! どんな答えが待ってようとも…俺は音子を手放さない…離してやらない。
そう決心を固めて震える俺の右手をドアに掛けた。
ガラガラ…。
「っ! 光輝君…? じゃないよね…誰…ですか…?」
音子の立つ場所から俺の立っているドア付近は逆光で音子は俺が夕日の光で誰だか分からない状態だった。
俺は何も発さないで音子に近づいて行く…。
「…え」
どうやら俺に気付いたらしい。音子は驚きの表情を隠せない。
「…な…んで」
「…及川に聞いたんだ」
音子は視線を下に抜けて左手を自分の頬に置いた。同時に俺は音子の目の前までやってきた。
「…お前に話しがあって、ここに来た」
「…話?」
「そう、話…」
さぁ、覚悟は良いか俺…。
目の前には愛しい音子がいるんだぞ。ちゃんと伝えるんだ、自分の想いをっ!
及川に殴られた左頬が少しジンジンと痛む。
もうすぐ2月だって言うのに、まだまだ寒い。時刻はとっくに4時を回っていて生徒は、ほぼいない感じ。寒い廊下を全力で走り抜けた。
「慧っ!」
廊下を走っていたら誰かとすれ違いざまに呼び止められた。
ったく…こんな時に誰だよ…。
振り返ると…そこには少し息を切らした乃亜だった。
「…どこにいたの…。探したんだから」
ここで会ったのも運だ。決着付けてやるよ。
「…あぁ、丁度良かった、話がある」
「…何」
表情一つも変えないで凄い目力で俺を睨んだ。
「俺、やっぱり音子が好きだ。だからお前とも、これっきりだ」
「は? ふざけないで。自分が何言ってるのか分かってんの?」
「ふざけてねぇよ」
「…そんなの許さないっ…」
「お前に許すも何ねぇよ」
「…ひどい。最低だわっ!」
「最低なのはどっちだよ!?」
「は…!?」
「お前、音子に何したんだよ!? アイツをイジメて俺から離させようとして…そんなんで俺が音子を忘れてお前に振り向くと思ってんのかよ!?」
「っ! …好きなんだもん。だって慧の事が誰よりも大好きなんだもん! なんであんな子に負けなきゃいけないの!? 乃亜の方が、ずっとずっと慧の事愛してるのにっ…」
その場に乃亜は泣き崩れた。
「…音子は弱いくせに強くなろうとしてるんだ。一人で大丈夫って虚勢を張ってるんだ。…でも本当は誰かに支えて欲しくて仕方ないヤツなんだよ…。そんなヤツを俺はずっと好きだった。これからもアイツを俺が一番近くで支えてやりたいんだ」
「…支えるのが慧じゃなくてもいいじゃない…」
「…確かにな…。音子が俺を必要としてなくても…俺が音子を必要としてるんだ」
「…うぅ…」
「俺の気持ち分かってくれるか…?」
「……分かるよ。乃亜が慧じゃなきゃダメなように…慧もあの子じゃなきゃダメって事でしょ?」
「あぁ…」
「もう…何を言っても無理なんでしょ…?」
「…ごめん」
「…あーあ、失恋しちゃった」
そう言って乃亜は涙を拭って天井を見た。
「…本当にごめん。悪いのは音子でも乃亜でもない…俺だから。乃亜が気が済むまで殴っていいよ」
「…ううん。音子ちゃんをイジメたのは事実だし…でももうしないから。その変わり、今度良い男紹介してよね!」
「…おぅ」
「…音子ちゃん、一人で寒そうだったよ。早く行きな?」
「…サンキュー…乃亜」
俺は、それだけを言い乃亜のすすり泣きの音を背に走り出した。
…ごめん、乃亜。乃亜もずっと苦しかったんだよな…。気付いてやれなくてごめん。きっと乃亜には良い男紹介してやるから、だからそれまで…ごめんな。
無我夢中で廊下を走り寒い廊下に俺の温かい吐息だけが残る。
…やっと…着いた。3階の奥の空き教室…。
音子、ごめん。こんな最低な俺を許してくれるか…? さんざん傷付けて一人で泣かして…それでも俺がお前を必要としてるから…手放してやれないんだ。
きっとこれからも傷付ける事、泣かせる事、たくさんしちまうんだろう…って思うとやっぱり離れた方が良いって思った。けど、そんな理由で別れられるほど俺は大人じゃねぇんだ。
音子が好きだ。どうしようもなく大好きでしかたないんだよ。
俺も気持ち全て伝えるから、音子も俺に音子の全ての気持ちぶつけてくれ! どんな答えが待ってようとも…俺は音子を手放さない…離してやらない。
そう決心を固めて震える俺の右手をドアに掛けた。
ガラガラ…。
「っ! 光輝君…? じゃないよね…誰…ですか…?」
音子の立つ場所から俺の立っているドア付近は逆光で音子は俺が夕日の光で誰だか分からない状態だった。
俺は何も発さないで音子に近づいて行く…。
「…え」
どうやら俺に気付いたらしい。音子は驚きの表情を隠せない。
「…な…んで」
「…及川に聞いたんだ」
音子は視線を下に抜けて左手を自分の頬に置いた。同時に俺は音子の目の前までやってきた。
「…お前に話しがあって、ここに来た」
「…話?」
「そう、話…」
さぁ、覚悟は良いか俺…。
目の前には愛しい音子がいるんだぞ。ちゃんと伝えるんだ、自分の想いをっ!