恋愛の条件
ガチャンとドアが閉まると同時に内側からロックがかけられ、部屋の中へ入るよう促される。

もはや逃げられないと悟るが、玄関で最後の虚勢を張ってみせた。

「入れよ?」

「ヤダ……」

「緊張してんの?」

「してないっ!!」

「奈央さぁ……」

修一がスーツの上着を脱ぎ、ネクタイを緩めながら奈央の頬にそっと触れた。

その指がすごく好きだ……

自分が置かれている状況も考えず、ふとそんなことを思った。


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