恋愛の条件
部屋に残された修一は奈央を追いかけようとして思い留まった。

「クッソ……あいつは一人で何納得してんだっ!?」

修一は思いっきり部屋の壁を殴ったが、拳が赤くなるだけで、苛立ちを抑えることはできなかった。

「勝手なこと言ってんじゃねぇよ……」

今にも泣きそうな奈央の顔が頭から離れない。

あの顔をさせたのは自分のなのだ。

自分があんなことを奈央に言わせたのだ。

修一の顔が苦痛と切なさに歪む。

「やっと手に入ったと思ったのに、逃げんじゃねぇよっ」

修一は奈央を追いかけることも、携帯を手に取ることもできず、そのまま玄関に座りこんだ。



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