恋愛の条件
修一の言うことはわかっている、気楽な身体だけの関係を望んでいるだけだから。

だから、3年前のようにみじめな思いをしたくなくて逃げるようにあの部屋を出てきた。

でも、結局同じだった。

こんなににも心が辛い。


(修、でもね、もうそんなに思いっきり泣けなくなってるのよ……

3年前と違って泣くと目が腫れて化粧のりが悪くなるからとか考えちゃうの……)


プライドだけが高くなって、 意地を張ることばかり上手になった。

確実に時は流れていて、そんなところばかりが変って、それなのに、自分は一歩も前に踏み出せないでいる。

奈央の心の中の時計は3年前から止まったままだった。


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