恋愛の条件
奈央が何もアクションを起こさないまま冬が過ぎ、入社も二年目の春。


修一に彼女ができた。

その時ほど、奈央は自分が何もしなかったことを後悔したことはない。

あれだけの男がフリーでいるはずがないのに……

彼女と別れて、寄ってくる女は絶えなかった。

その中で、一夜限りの関係の女が何人かいたのも知っている。

でも奈央はどこかで安心していた。修一が特定の彼女を作る気配がなかったから。

新しい彼女とはクライアント先で知り合ったらしい。

それ以外は知らない。修一が何を言っていたのか覚えていなかったから。

だが、クライアントが変わる頃、修一と彼女は別れた。

以外にあっさりしている修一驚いたが、彼が発した言葉には、更に驚いた。


「あぁ、契約期間中の間だけって話だったから---」


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