恋愛の条件
「「何で?」」

二人揃ってハモり、奈央を見る。

「広瀬さんは取れないかも?とか考えてるのか?」

「そういうわけじゃ……」

「取れるに決まってる」

「あぁ、余裕だな」

自信満々の二人を目の前にし、自分一人が緊張してバカみたいに思えてくる奈央だった。

二人共ムカつくけどかっこいい、これだけ自分の仕事に自信を持てるなんて、ある意味高慢だけど、尊敬に値する。

自分もいつかあんな風に自分の仕事に自信を持てるだろうか、とつい比較してしまう。

そんな落ち込みがちの奈央とは対称的に、修一が時計に目を配り、意気揚々と立ち上がる。

「行きましょうか?」

「そうだな、Let's picnic!」

楽しそうにエレベーターへと向かう二人の後を、奈央一人手に汗かきながらついていく。

大事なパソコンを持っていなくて良かった、今日はつるっと落としそうだ、と一人ごち、大きく深呼吸した。


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