恋愛の条件
プレゼンが終了し、サイバーマイクロ社を出た瞬間奈央はベンチに座り込んだ。

「どうした?」

心配そうに修一が横に座る。

「な、何か気が抜けちゃって……終わったのね?」

「緊張しすぎだろ?」

「修はプレゼン慣れてても、私はこんな大きなプレゼンは初めてだったのっ!」

フイっと顔を横に背けると、長い影が落ちてくる。

「お疲れ様。広瀬さん、ありがとう」

えっ、と降ってきたことばの主をゆっくり見上げると片桐が立っていた。


(……えっ?今この人何て言った?もしかして、ありがとうって言った?)


奈央が怪訝そうな顔で見返すと、片桐は笑いをこらえきれず噴き出した。

「本当、広瀬さんって面白れぇなぁ。そんな露骨に表情に出さなくても……」


(え?何?表情に出てた?)


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