恋愛の条件
「すみません……」

「ここまで俺に動じないのって珍しいね?」

充分緊張している、と心の中で叫ぶ。

「今回は本当によくやってくれた。感謝している」

片桐は戸惑う奈央ににっこりと笑った。


(わ、笑った……普通に笑った……?)


「さて、お昼でも食べて行く?」

「えっ?お昼ですか?」

まさか、片桐にお昼に誘われるとは思わなかった奈央は、言葉を失う。

一緒にお昼を食べている姿を想像し、絶対に箸が喉を通らない、断ろうと口を開きかけた時、修一が先に答えた。

「片桐さん、広瀬と俺は今からLB社との打ち合わせがありますから」

「そうか、残念だな。じゃぁ、また社で?」

「はい、お疲れ様でした。」

「(???)お、お疲れ様でした……」

二人は頭を下げ、片桐を乗せたタクシーを見送った。


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