恋愛の条件
首をかしげて不可解な顔をする奈央に諦めたのか、修一が奈央の手を取った。

「ちょ、ちょっと……修!手、離して」

「どこで昼食べる?」

奈央の手をしっかり掴んで修一はすたすたと前へ進む。

「何で修と食べなきゃいけないの?」

「俺が奈央と一緒に食べたいから」


(そ、そんな理由……)


「ねぇ、待ってよ……」

「どうせ、胃が痛くて朝から何にも食べてないんだろ?」

交差点で足を止め、奈央の横に並ぶ。

修一を見遣れば、緊張してたもんな、と優しく笑う。

「………」

「和食でも行くか?消化のいいもん食った方がいいだろう」

どこにするかな、と呟きながら横断歩道の信号が青になると、奈央の手をぐっとひいて歩き出した。


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