恋愛の条件
修一を待っている間が永遠のように思え、奈央は息苦しさを感じずにいられなかった。

何をしようにも手がつかず、時間を持て余してしまう。

と、その時……。

ドアがガチャと開く音がしたかと思うと、テンションの高い揚々とした修一の声が聞こえてきた。

その声に奈央の心臓は大きく飛び跳ねる。

「お帰りなさい!」

五十嵐が一番に修一の元にかけつけ、コートと荷持つを受け取った。

「あれ?片桐キャップは?」

「今、部長に報告している」

「で、どうだったんですか!?勿論取れたんですよね?」

「何?お前ら山内課長から何も聞いてないの?」

「何にも教えてくれないんですよ!」

「取った!」

修一がニヤリと笑い、周囲にどよめきと拍手が沸き起こった。

「今日は飲むぞーーーーーっ!!」

周囲が一気に盛り上がる。

奈央一人その輪の中に入れず、接着剤で貼り付けられたようにデスクから動けないでいた。


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