恋愛の条件
奈央は片桐に手を引かれるままホテルへと進んだ。

部屋に入る前に、いいのか、ともう一度念を押されたが、奈央自信がカードキーを差込みそのドアを開けた。

馬鹿なことをしているのかもしれない。

明日になれば後悔するかもしれない。

でも、今は忘れさせて欲しい。

この身体に染み付いた記憶を……

部屋に入るや否や、片桐は奈央をベッドに押し倒し雨のようなキスを降らせた。

シャワーを、と懇願する奈央の腕を押さえ、首筋に顔を落とす。

「ん……ハァ……」

唇も指も全てが優しく奈央に触れる。

片桐は奈央のブラウスをゆっくり脱がせ、楽しむように肩から鎖骨へ、そして胸元から腰へと指を滑らす。

「や、焦らさないで…」

普段なら絶対に言わない台詞。

でも今夜は、早く彼で埋めつくされたい。

そんな奈央の心を見透かすように片桐は奈央の耳元で甘く囁く。

「焦るな……」


< 243 / 385 >

この作品をシェア

pagetop