恋愛の条件
奈央は、自分自身を世間一般の27歳の女と比べれば、かなりレベルは高いと自負している。

受付の若い子や秘書課のお姉様方のように格別容色に優れているわけではないが、日々女磨きに努力を重ねている彼女の外見はそれなりに際立つものがあり、男性社員からも人気だった。

服装も、ネイルも、髪型も完璧武装で、どこに問題があるのか?

否定されるとしたら、それは好みの違いのせいだろう。

と、口にして言ってしまえば高慢に聞えるが、奈央は自分に自信を持っていた。

仕事もそれなりに頑張っているし、中身のない女ではないつもり。

27歳という女としても、会社の中でも微妙なゾーンに入ってきているという危機感は認識している。

だからキャリア志向……なんてイメージがつかないようさり気ない気遣いを入れつつ完璧に仕事をこなす、そんな技も自然と身についた。

奈央の持論としては、それなりの努力をしているんだから、それなりの男に、それなりに愛される資格はある、と。


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