恋愛の条件
奈央は衣服の乱れを直し、身体を起こした。

隣に座る修一はおさまりが悪いのか、かなり怒って見える。

「修?」

そっと腕に手を乗せる。

「お前、何であんなヤツと付き合ってたんだ?」

「何でって……」

「あいつめちゃくちゃドMな上に根性ワルだぞ?」

自分の行いは棚に上げ、裕樹が悪いといわんばかりの修一を奈央は唇を噛んで睨む。

「あぁぁムカつく……」

「ねぇ、戻らなきゃ……」

修一は明らかに不機嫌そうな面持ちで奈央のことを見つめた。

「何?」

「お前、このまま俺が戻っても平気なわけ?」

「性がないじゃない、仕事なんだから……」

「邪魔されてムカついてんの俺だけかよ?」

頭をかきながら修一はベッドから立ち上がる。

「あーーーーっ!クソッ!!」

「クス……」

「笑うなっ!ほら?」

修一は苛立ちを抑えながら胸のポケットからカードらしきものを出した。

「な、何?カードキー?」

「俺のマンションのキー。暗証番号は、0704。病院行ったあと、待ってろ?」

「い、いいの?」

「いいのかって、俺が奈央と一緒にいたいんだよっ。身体も心配だし」


(今更心配って……人を押し倒しておいて?)


< 271 / 385 >

この作品をシェア

pagetop