恋愛の条件
「山内課長に何て言えばいいのか……」

「俺から言う」

「でも、何て言うのよ?」

「はぁ?そんなの結婚するから連れて行くって普通に言うけど?」

「そう……結婚ね……」


(えっ!?!?!?!?)


「修……?今なんて……?」

「だから結婚するから……」

奈央の瞳がこれまでにないくらい大きく開いた。

瞳孔がどうにかなりそうだ。


「け……結婚っ!?」

「何だよ?」

「えぇぇぇぇぇぇぇっ!?」


(今度こそ頭が真っ白だわ……)


「お前……今まで俺の言ったこと聞いてたわけ?」

ドクドクなる心臓の音が大きくて修一の呆れたか細い声なんて入ってこない。

「奈~央!おいっ!!」

「だって、だって……そんなこと一言も……」

「普通女の仕事やめさせてまで連れて行くって言ったら結婚するって意味だろうがっ?」

「そ、そんなの……わかんないわよっ……」

「お前はぁぁ……」

修一は奈央を膝の上に乗せたままベッドに倒れるように仰向けに寝た。

「俺は単細胞のバカか?何も考えずに奈央をただニューヨークに連れて行くって思ってたのか?お前の親だって黙ってないだろ?」


(何も考えてないのかと思っていた……って言ったら怒る……?)


「俺だってそれなりの覚悟で言ってんだ……」


腕で顔を隠しているから中々表情は見えないが、かなり落ち込んでいる様子だ。


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