恋愛の条件
「性格はあまり変わってなかったけどなぁ。キツい上に頑固。意地っ張りの負けず嫌い」

「なっ……悪かったわねっ!!」

「いつも一生懸命で、真っ直ぐで。でも、本当は脆くて人一倍誰かに甘えたいくせに一人で立とうとする。危なっかしくてほっとけねぇ……俺はそんな奈央をすげぇ好きになったんだ」

下から修一が優しく奈央を見つめる。

手は愛しいものを触れるように頬から首筋へ、そして髪へと流れる。

その擽ったさについ言わなくていいことまで言ってしまう。


「でも私は全っ然修の真意がわかんなかった。からかわれているだけかと思った……」

「で、片桐さんにグラっときたって?」

優しく触れていた指がピタっと止まり、思いっきり奈央の頬をつねった。

「いっ、痛い!もう……だって修が……」

「俺が何だよ?」

まだ頬をつねったままだ。

「修に彼女がいるって聞いたから……」

「あぁ、五十嵐の野郎をシバくの忘れてた。明日だな……」

修一の目の奥がキラリと光る。

「もう、やめてよ。いいじゃない?」

「よくねぇよっ……そのせいで他の男に取られそうになったんだからな!!」

「でも結局無理だったんだもん。修のことを忘れようと思っても、無理だったんだもん……」

「奈央……」


(ドキン……)


修一の声が急に真面目になる。


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