恋愛の条件
「あぁぁ……広瀬さん、コーヒー!コーヒーこぼれてます!」
「えっ……?あっ、ヤダッ……」
「その書類、大丈夫ですか?」
佐野が心配そうに覗き込む。
奈央はハッと書類を手にとり確認する。
「大丈夫。また打ち出せばいいから。ごめんね、佐野さん、ちょっと考え事してたの」
「そうですか。昨日倒れたし、今日も休んだ方がいいんじゃないですか?」
黒い大きな瞳がうるうるこちらを心配している。
(あぁ、罪悪感。そうじゃないの。心配かけてごめんね、佐野さん)
「大丈夫よ。仕事がたまっているし、こういう時こそしっかりしなきゃね」
いまいち今の奈央には説得力がない。
(はぁ……ホント、どうして私って恋愛が上手くいくと仕事に集中できないんだろ?)
恋愛で落ち込んでいる時は、意地も手伝ってか、服装もメイクも完全武装で仕事に取り組めるのに、上手くいってしまうとつい気が緩んでしまう。
我ながら単純で成長していない、と自嘲する。
(何だか、マスカラがダマになって目が痛いわ。マスカラひとつ完璧にぬれてないなんて、ホントどうかしてる!!)
奈央が化粧ポーチを持って席を立とうとした時、山内課長が奈央を呼びとめた。
「広瀬さん、ちょっといいかしら?」
(ドッキーン!チーフの件かな?ちゃんと断らなきゃ……)
「はい……」
「えっ……?あっ、ヤダッ……」
「その書類、大丈夫ですか?」
佐野が心配そうに覗き込む。
奈央はハッと書類を手にとり確認する。
「大丈夫。また打ち出せばいいから。ごめんね、佐野さん、ちょっと考え事してたの」
「そうですか。昨日倒れたし、今日も休んだ方がいいんじゃないですか?」
黒い大きな瞳がうるうるこちらを心配している。
(あぁ、罪悪感。そうじゃないの。心配かけてごめんね、佐野さん)
「大丈夫よ。仕事がたまっているし、こういう時こそしっかりしなきゃね」
いまいち今の奈央には説得力がない。
(はぁ……ホント、どうして私って恋愛が上手くいくと仕事に集中できないんだろ?)
恋愛で落ち込んでいる時は、意地も手伝ってか、服装もメイクも完全武装で仕事に取り組めるのに、上手くいってしまうとつい気が緩んでしまう。
我ながら単純で成長していない、と自嘲する。
(何だか、マスカラがダマになって目が痛いわ。マスカラひとつ完璧にぬれてないなんて、ホントどうかしてる!!)
奈央が化粧ポーチを持って席を立とうとした時、山内課長が奈央を呼びとめた。
「広瀬さん、ちょっといいかしら?」
(ドッキーン!チーフの件かな?ちゃんと断らなきゃ……)
「はい……」