恋愛の条件
「あんなに仕事頑張ってたし……どうせなら俺と一緒にニューヨーク支社転勤ってのもいいかなぁ~なんて?ニューヨークの支社長に話したら以外にあっさりOK出てさぁ♪多分奈央が美人だからだな、あのエロ親父め……」

奈央は呆然として修一の話を聞いていた。

彼の気遣いは嬉しいが、唐突すぎる。

仕事を辞めることはすごく後ろ髪がひかれた奈央だが、それだけの覚悟をしたつもりだ。

仕事を辞めてでも、修一についていきたい、一緒にいたい、そう思えたから決断したのだ。


(仕事よりも、アンタを選んだんでしょうがっ!私のあのロマンティックな決意をどうしてくれんのよっ!)


「何?奈央はイヤなの?」

「イヤってわけじゃないけど……」


(昨夜のトロけるような甘い時間を返せーーーーーーっ!!)


「それとも俺の可愛い奥さんとして寿退社してニューヨーク行きたかった?」

「そういうわけじゃ……」


それは確かに、すごく考えた奈央だった。

惜しまれ、祝福され、羨望の眼差しの中気持ちよくニューヨークに行く自分の姿を。


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