恋愛の条件
「その前に、普通医務室でしないだろ?しかも倒れて頭打った人間相手に発情って……」

山下の顔は呆れ果てている。

「性がねぇじゃん。奈央といると自分が抑えられねぇんだよ」

「俺はお前が我慢しているところを見たことがないぞ?あそこで自分抑えずにいつ抑えるんだよ?」

「俺だってかなり我慢してんだぜ?同じオフィスにいたらキッツイぞ?」

「まさか……仕事中にとかないだろな?」

真面目の教本通りに生きたきた山下には、黒沢の行動は理解の範囲外だ。

「まぁ、未遂っぽいのは何回かあったけど?」

黒沢の言葉に山下はビールを吹き出した。

「///おっ前……」

「きったねぇなぁ」

「み、未遂って」

「だって奈央って俺といるとさぁ、すんげぇ可愛いの♪」

「………」

「何か、ネコがネコじゃらし欲しいのに必死で我慢してるって感じ?」

「お前の言っている意味がわからない」

「つい苛めたくなんだよなぁ。ネコじゃらしを高く上げてからかいたくなる♪」

「そんなことしてるから片桐キャップに取られそうになんだよ」

ドカッ!

「っせぇなぁ……」

山下の嫌味にムカついた黒沢が思いっきりテーブル下の山下のスネを蹴り上げる。

「いってぇ……お前、蹴るなよ」

「お前がムカつくこと言うからだろ!」

そうだった、コイツはジャイアンだった、迂闊なことを言えば鉄拳どころか回し蹴りが入る、と山下は蹴られたスネを擦る。

「まぁ、あん時はマジで焦ったけどな」


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