恋愛の条件
修一は二週間程前のことを思い起こす。
何を言っても奈央には通じず、修一を拒否し続ける。
後で知ったことだが、奈央は修一に彼女がいると思いこんでいた。
取引を成功させ、ニューヨークの出張から帰ってきてから奈央にきちんと告白するつもりが、五十嵐の余計な一言で全ての計画が崩れたのだ。
「それより、片桐キャップは?もう大丈夫なのか?」
「あぁ……」
修一は聞かれたくなかったことを突っ込まれ、不機嫌丸出しに言葉を切る。
これは、反撃チャンスか、と山下の舌は鳴るが、あえて足を横に組み、修一から距離を取る。
「お前はわかりやすいヤツだなぁ。何、きちんと話してないわけ?」
「お前、なんか嬉しそうだな?」
修一がジロッと山下を睨む。
「い、いや、ちゃんと挨拶していけって言ってんだよ!」
「わかってるって。あの人はすげぇよ。器が違いすぎる。尊敬している分、キツかったな」
「何が?あっ……」
山下は続く言葉をごくりと飲み込み、その視線は修一の背後に立っている人物に注がれている。
ただでさえ修一の前で気弱な山下の瞳に一気に動揺が走る。
「???」
山下の反応に、怪訝そうに後ろを振り返れば、口角を上げて皮肉な笑いを浮かべる片桐が立っていた。
「お前がそう思ってくれていたとは嬉しいなぁ」
山下と修一は、その声に熱気の篭る居酒屋の温度が5度、いや10度下がったように感じたのは言うまでもない。
何を言っても奈央には通じず、修一を拒否し続ける。
後で知ったことだが、奈央は修一に彼女がいると思いこんでいた。
取引を成功させ、ニューヨークの出張から帰ってきてから奈央にきちんと告白するつもりが、五十嵐の余計な一言で全ての計画が崩れたのだ。
「それより、片桐キャップは?もう大丈夫なのか?」
「あぁ……」
修一は聞かれたくなかったことを突っ込まれ、不機嫌丸出しに言葉を切る。
これは、反撃チャンスか、と山下の舌は鳴るが、あえて足を横に組み、修一から距離を取る。
「お前はわかりやすいヤツだなぁ。何、きちんと話してないわけ?」
「お前、なんか嬉しそうだな?」
修一がジロッと山下を睨む。
「い、いや、ちゃんと挨拶していけって言ってんだよ!」
「わかってるって。あの人はすげぇよ。器が違いすぎる。尊敬している分、キツかったな」
「何が?あっ……」
山下は続く言葉をごくりと飲み込み、その視線は修一の背後に立っている人物に注がれている。
ただでさえ修一の前で気弱な山下の瞳に一気に動揺が走る。
「???」
山下の反応に、怪訝そうに後ろを振り返れば、口角を上げて皮肉な笑いを浮かべる片桐が立っていた。
「お前がそう思ってくれていたとは嬉しいなぁ」
山下と修一は、その声に熱気の篭る居酒屋の温度が5度、いや10度下がったように感じたのは言うまでもない。