恋愛の条件
「片桐さん……」
「俺にも生な?」
修一の隣に座った片桐は、何故か山下を促す。
ここで一緒に飲むつもりだろうか?できるなら断って欲しいと、ジャイアンに縋るが----
「もちろんお前のおごりだよな、黒沢?」
山下の心の中を読んだように片桐は口角を上げてニヤリと笑う。
「はい……」
「(うっわぁ、きまずい……俺帰りてぇ~)」
山下は大人しく生を注文し、口を閉じた。
「SE社ですか?」
そんな山下の動揺も知ってか知らずか、修一が真面目な顔で片桐に仕事の話を振る。
「あぁ、お前がいろんな企画を立ててくるからこっちは大変だ」
「片桐さんだから俺も任せられるって言うか。あぁ、これは本音です」
「知っている」
一方の片桐も真面目に答えるが、謙遜しないのはお互い様。
「今いくつ取引き掛け持ちしてんですか?」
おずおずと山下が二人の会話に口をはさむ。
「このバカのせいで4つだ」
「え?いつの間にそんなに増えたんですか?」
「確か昨日新たに一つ追加だよな?俺は営業じゃないんだぞ?借り出されてばかりだ!」
「まぁまぁまぁ、細かいところにこだわらず、取りあえず飲んでください!」
ジロっと睨む片桐に修一は店員が持ってきたジョッキを渡し、三人で乾杯した。