恋愛の条件
「何か、お前を祝っているようで癪だな」

「そうですよ!俺なんて祝えっておごらされているんですから」

「へぇ、偉い身分だな?安心しろ山下、今日は黒沢のおごりだ♪」

「ゲッ、そんな……」

最初の一口でジョッキの半分以上を一気に飲み干し、片桐が笑う。

その笑みが怖いと思うのは山下だけだろうか?

「ここの飲み代くらい当然だろ?お前のおかげでこっちは戦力ダウンもいいところだ。今、お前と広瀬さんを同時に失うのはキツイからな」

「ですよね~♪じゃぁ、俺も生もう一杯!」

片桐を味方につけ調子づいた山下が更につまみや飲み物を注文する。


「(山下、コノヤロ……)」

「で、お前の狙いは何だ?」

片桐はタバコに火をつけながら修一を見据えた。

「何のことです?」

「たった1ヵ月で取引5つ。しかもノースアメリカを焦点にしぼっている。日本に来てから動いていたわけじゃないよな?あれだけスムーズに展開させるにはニューヨークでかなり下準備と地固めをしてきていたんだろ?」

「あれ?わかりました?」

悪戯がバレた子供のように修一はニヤリと笑う。


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