恋愛の条件
片桐が去った後、一気に緊張の糸が緩まったのか、二人は脚を投げだし椅子にもたれかかった。

「お前、よくあの人と一緒に仕事組めるなぁ。俺すごくイヤな汗かいた」

「その割には好きなこと言ってたよなっ?」

「あの人に便乗しないとお前にまともに文句言えるかよっ!」

「でも、やっぱあの人はすげぇよ」

「お前もな?あんなこと考えてたなんて思いもしなかったよ」

「あぁ、あれ?まぁ最初はニューヨーク支社をもっと忙しくさせたら奈央を連れていきやすいかなぁって思ってただけなんだけどな?おかげで奈央の異動はすんなりOKされたし♪」

「はぁ?」

「きっかけなんてそんなもんさ……」

先ほど片桐に真面目に話していた姿はどこにいったのか?

大したことではない、とけらけら笑う。

「(こいつは……)お前って閃きで生きてんのか?」

「てめぇ、人が何も考えてないようなこと言いやがって。でも、いつかやってみせる」

「何かお前がそう言うとできそうな気がするから怖いよな?奈央大変だろうなぁ」

「何で?あいつは俺がいるからいいの!」

「何を根拠に……家族も友達もいない中行くのって結構大変だぞ?」

修一の目がぱちくりと開く。

「お前らさすがドMだな……言うことが同じ(笑)」

「ハァ?何のことだ?」

「あぁ、こっちのこと。奈央はいいんだよっ。寂しいとか余計なこと考える暇がないくらい俺がめいいっぱい愛してやるから♪」

「///おっ前、こっちが恥ずかしがること言うなよ」

「じゃぁ、俺帰るわ。明日早いし、ってか急に早くなったし?」

「出発ギリギリまで忙しくなりそうだな?奈央にもよろしく」

「あぁ、山下……」

席を立とうとした山下を修一が呼びとめた。



< 325 / 385 >

この作品をシェア

pagetop