恋愛の条件
「何?」

「ありがと、な……」

修一は顔を背けて山下に礼を言う。

すこし頬が赤くなっているのは気のせいだろうか。

「な~にぃ~?聞っこえな~い♪黒沢君かわいいなぁ~」

山下は、意地悪く黒沢を覗き込む、が、すぐにその額をペシンとはたかれる。

「いって……お前は、やっぱりかわいくない!」

「うるせぇよ」

「奈央に連絡しなくていいのか?明日早くなったって?」

「あぁ、どうせ今から会うし」

「はぁ?今何時だと思ってんだよ?」

山下はスーツの袖を上げ、腕時計を見る。

針はもう12時近くを指していた。

「あいつ俺のマンションにいるから」

「何?お前らもう一緒に住んでんの?」

「まぁ、ほぼ入り浸りだな」

「くっそ~何でこんなジャイアンが幸せを掴むんだっ!」

「言ってる意味がわかんねぇ」

「俺も今から千夏んとこ行こ……」

山下は恨めしそうに携帯を手に取った。

「佐野さんも最近忙しいから今頃もう寝てんじゃねぇの?」

「お前が忙しくさせてんだろうがっ!って電話に出ないし……」

「ほらな?」

「別にいいさ……明日会えるし」

山下はがっくりと肩を落した。


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