恋愛の条件
そんな奈央の心を見透かしたように修一は冷静に言う。

「バカなこと言うなよ。ついででするものじゃないだろ?」

正論である。だけど、その言葉にすごく腹が立った。

「そうだな」って笑い飛ばしてくれたら良かったのに。

「いつにする?」なんて聞いてくれれば、「今は忙しいからお互いに仕事が落ち着いてからよね」と大人な対応ができたのに。

そんな修一の態度に、奈央はつい噛みついてしまう。

もともと勝気の性格の奈央だ。言い出したら止まらなかった。

「そうだけど、きっかけって必要じゃない?修は本当に結婚する気あるの?」

「俺が何も考えてないとでも?」

「あら、考えてくれてたわけ?」

冷静に切り返す修一にますます苛立ち、奈央は思ってもないことを口にする。

「何よ、私何のためにニューヨークに来たのよっ!!バッカみたい!」

「奈央、落ち着けよ。何をそんなに怒っているんだ?」

憤慨する奈央を宥めようと修一が奈央の身体に腕を回す。

逞しい胸に吸い寄せられるように抱きしめられ、奈央の体温は一気に上がる。

こめかみに、首筋にキスを繰り返され、つい甘い吐息を漏らしそうになるが----



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