恋愛の条件
「修のバカッ!今そんな気分じゃないのに!」

「何で?感じてるくせに?」

ここ半年で随分と修一に飼い慣らされてしまった身体は、彼の吐息が耳にかかるだけで、期待に震えてしまう。

つい反応してしまう自分の身体が恨めしい。

「奈央我慢できるんだ?」

修一は、クスリと薄く笑いながら、奈央の身体に指をゆくっりと這わせる。

腰から太ももにかけて往復する指に身体がビクンと反応する。

だが、ここで折れてはダメだ、と奈央はあるかないか分からない理性を総動員させ、修一の腕から逃れる。

「信じられないっ!エッチでごまかそうとしないで!私は修の性欲処理の相手をする為にいるんじゃないんだからっ!」

中途半端に働いた理性が言わせた言葉は、冷静な修一を怒らせるのに十分で。

「俺がいつ奈央を性欲処理にしたんだよっ!?奈央はそんな風に思っていたのか?」

「……っ……そんなのっ……」

流石の奈央も言い過ぎたと反省するが、口から出た言葉は取り返しがつかない。

『口は災いの元』とよく言ったもので、修一はそのままマンションを出ていった。

奈央はそれっきり修一とは口を聞かず、黙って日本へ帰国したのだった。



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