恋愛の条件
こんなことお願いしてごめんね?とウィンクされ、どこか憎めなさを感じつい頷いてしまう。

多分、この人が噂の山内課長だろう。

技術チームでの現場仕事、海外勤務を経験し、近いうちに部長のポストに就くであろうと言われている。

噂には聞いていたけどすごい、と感心する。

「今ここの課のチーフも来るから彼の指示に従ってね?」

「はい」

誰なんだろう、と首をひねりながら、奈央は山積みになった書類を少し横へと移動させ、新しいデスクに座りパソコンを開いた。

山のような書類のファイリングもあるのに、このデータの量を新しいメインサーバーに移すのはかなり大変だ。

指をならし、背筋を正して集中力を高めた。


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