恋愛の条件
「おい山下、そんなヤツとは何だよ!?」

「絡むなよ。お前らの喧嘩騒動でこっちはかからなくていい火の粉までかかってとんだ迷惑だ」

佐野を背後に引き寄せ、修一を睨む。修一も負けじと睨み返す。

確か山下の方が二期先輩のはずだが、どうしても力の上下関係は修一の方が上になる。

だが、佐野が絡んでは流石の山下も今回だけは引けない。

「裕樹、ごめんね。いろいろと迷惑かけたみたいで。ほら、修もいい加減にして」

ピンと張りつめた二人の間に、奈央が割って入り修一を宥める。

「奈央もだよ。二人とも俺を振り回すのはやめてくれ。しかも千夏を巻き込むな」

「ご、ごめんなさい……」

昨夜の醜態を思い出し、奈央はしゅんと項垂れる。

「広瀬さん、私は気にしてませんから!」

山下の背後で佐野が一生県命取り繕う。

「そうよ~。奈央のおかげで昨夜は最高に幸せだったのよねぇ?」

からかうような沙希の声に、佐野と山下の両方が赤面する。

「おい、山下その反応キモイ……」

「佐野ちゃんはかわいいけど、あんたまで赤くなってどうすんのよ?」

ドSコンビにけなされ、山下は辟易とした顔で天を仰いだ。

「とにかく、お騒がせしました。本当に迷惑をかけてごめんなさい!」

奈央は3人に深々と頭を下げた。

「でもね、皆に会えてよかった。私本当いうと少しホームシックだったのかも。醜態さらしちゃったけど、すごく楽しかった」

そう言ってにっこり笑う奈央の笑顔は誰よりも幸せに輝いていた。



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