恋愛の条件
「なっ、なっ……何で……?」

「何でって?俺もここに異動♪」

「い……」

「いつって、昨日日本に着いた」

「二、ニュ……」

「ニューヨーク?ずっとニューヨークにいたかったけどなぁ……」

傍から見れば、しりとり漫才でもしているかのようなやりとり。

普段は冷静と社内の人間から評される奈央も珍しく動揺を隠せないでいた。

その動揺を与えている当の本人はというと、口角を上げて薄く笑っている。



---黒沢修一。



そう、奈央が人生で抹消したい記憶リストのナンバーワンにランクされるこの男。

奈央は本能的に身体を硬直させ、身構えた。


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