恋愛の条件
奈央は、破裂しそうな心臓の音に気づかれないよう視線をずらし、できるだけ冷静に言葉を選んだ。

「----どうして急に?」

「急じゃない。かなり前から話はあった」

「そう、なの?」

「まっさか奈央と同じ部署になるとは思ってもみなかったけどなぁ」

乾いた笑いを含めたその声に奈央は驚きを隠せない。


(何……笑ってんの?どうして平気で笑えるの?)


「馴れ馴れしく呼ぶのやめてくれない?」

「いいじゃん別に。3年振りに会えたんだからさ♪」

全く普通に話しかけてくる修一に苛立ちを覚えつい声を荒げる。

「同じ部署だなんて、最悪!挨拶以外に話しかけてこないで!!」

「それは無理だろ?」

「どうしてよ!?」

わかんないのか?と云わんばかりに奈央の顔を覗き込み、そして耳元で囁く。
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