恋愛の条件
何で!?
と心の中で何度復唱しただろうか。
今起こったことが夢でないことは、頬をつねって確認済みだ。
念願の部署に異動になって上がっていたテンションが一気に急降下した。
電話どころじゃない、これから毎日顔を突き合わせて一緒に仕事しなきゃいけない。
しかも奈央のチーフということは直属の上司にあたる。
ふと、沙希のあのイヤな笑顔を思い出す。
彼女は知っていたのだろうか……?
知っていたにちがいない。
その日、奈央は悶々とデータを入力し続けた。
背中に感じる修一の視線に居心地の悪さを覚えながらも何故か高鳴る心臓の音を打ち消すことができなかった。