恋愛の条件
「わっらえる~!こんなことってあるのね~♪」
「笑いごとじゃないわよっ!沙希知ってたんでしょ!?」
「え~何のこと~?」
業務を終わらせた奈央は、苛立ちと戸惑いが納まらず、その鬱憤をはらさないと、と平日だというのに沙希とあやを行きつけの居酒屋に誘った。
「でもまさか同じ部署でその上チーフだなんて、笑うっきゃないでしょ?」
「最悪よ……」
「まぁ、まぁ、飲め!今日は奈央のお祝いということで奢ってあげるから」
「そうですよ!奈央先輩、念願の部署に異動になってその上あんなかっこいい人がチーフだなんて……」
トロンと目がハートになるあやを冷ややかに一瞥し、奈央はジョッキのビールを流し込む。
「あやちゃん、その「かっこいい人」が問題なのよ?」
「黒沢さんのことで女子社員すごく騒いでいましたけど、奈央先輩とはどういう関係なんですか?」
急に振ってきたあやの質問に心臓ギクリとなる。