恋愛の条件
４．女の意地とプライド
「あ～頭痛い。完っ全に二日酔いだわ……」

奈央はまだ片付いていない書類の山に、埋もれるように頭をかかえた。

「昨日殆どファイリングして帰ったのに何でまだこんなにいっぱい書類があるのぉ？誰よ、ここにおいたのはっ！」

まだ引越し作業が終わってないオフィスを逡巡し、さらに脱力する。

業務内容を確認したくて３０分早く出勤したが、これでは意味がない。

最悪絶悪環境の中、落ち着いて仕事に集中する為にも、せめて身の回りだけでもキレイに整頓しておきたいのに、と書類の山を睨む。

「それ、俺が置いたの♪」

一番避けたい男の声が奈央の頭上から落ちてくる。

「奈～央ちゃん、おはよ」

背後から抱きすくめられ、すぐ傍にあるキレイな横顔に身を固くする。

「何してんの？離れてよ……」

触れ合うところから届く体温に声が震えそうになるが、絡められた腕を押し離した。

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