雨の中にたたずんで
髪を乾かし、メイクも施す。

帰ってきたときとは別人のような自分を鏡に映し、私はじっと自分の顔を見つめた。

シャワーを浴び、部屋に戻ると携帯にメールが届いていた。




訃報というタイトルだった。



もちろん、優一さんのお通夜についてのことだった。

メールをくれたのは高校の同級生だけど、私が優一さんとつきあっていることを

知っている人はいない。

優一さんが誰にも言わなかったように、私も誰にも言っていなかった。








優一さんとの結婚まで夢に見ていたのに


私、どうして涙が出ないんだろう・・・





優一さんの死はあまりにも唐突すぎて

訃報のメールをもらってもまだなんだか信じられなかった。



優一さんとつきあってもう5年になるのに。



私はぼーっとしながら、ルージュをひいて立ち上がった。




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