雨の中にたたずんで
先生と再会した同窓会の夜


2次会に行くという仲間たちの隙を見て、私は先生と抜け出した。


初めてつながれる手がなんだかくすぐったくて、うまく握り返せない。


街の中を二人で黙って歩いていると、ふと先生が立ち止まった。



「あ、雨・・・」


先生が空を見上げると、ぽつんぽつんと私の額にも雨粒が落ちてきた。


「えー!そんな予報出てなかったのに」


私も空を見上げてから、どうしようかと先生の顔を見る。


「傘を買うか?それとも俺と一緒に来る?」

握られた手がほんの一瞬熱くなって、私は先生の顔を見つめたまま

少しだけ強く手を握り返した。

「・・・行こう」

そう言って、先生は私の手をぎゅっと握って歩き出した。

駆け込むように入ったのは、少し高級なビジネスホテル。

「部屋、取ってくるからそこで待ってて」

先生はそう言うと、私をロビーのソファーに座らせた。

ドキドキしながらも、私はバックからハンカチを出して濡れたコートを拭く。
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