雨の中にたたずんで

「・・・な、何か?」


私はおずおずと窓口に近づくと、あまり優輝くんの顔を見ないようにして言った。


「今日、時間ある?」


「あ・・・えと」


午後半休にされたこと、もしかして聞かれてた、かな


「1時に正門で待ってるから」

優輝くんはそれだけ言うと、私の返事も聞かずに校舎へと走っていった。


「あら、優輝くんじゃない」

私がただどうしようもなく優輝くんの後姿を見送っていると

局長が私の隣にやってきて、窓口から優輝くんを見やった。


「ようやく、落ち着いたのかしらね」


「え?」


ってことは、局長は優一さんに息子がいたって知ってたってこと?


「あれ?知らなかった?」


ただ無言で局長の顔を見つめると、どうやら局長は何かあると気づいてしまったらしい。


「ちょっと、こっちいらっしゃい」


と、局長室へと連れて行かれた。
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