雨の中にたたずんで
「何かあるな、とは思ってたけど・・・・そういうこと」
私はソファーで局長と対面に座りながら、両手をぎゅっと握り締めた。
「・・・黙っていてすみませんでした」
すべてを打ち明けると、局長は驚いたような、でも知っていたような複雑な表情をする。
「・・・実はね、雨宮くん、あなたと出会う前に別居してるのよ」
「え?」
「奥さんのほうに少し問題があってね、奥さんが子供を連れて実家に帰ってしまったの」
そう、だったんだ・・・・
「優輝くんは奥さんの実家で育てられたそうよ」
え・・・
「って、私も知ったのはここで優輝くんに出会ってから。そっくりでしょ?」
申し訳なさそうに笑う局長に、私は黙ってうなづいた。
本当にそっくりで・・・
優一さんがもうこの世にいないなんて嘘みたいな・・・
そんな不思議な感覚。