雨の中にたたずんで
そして、ようやく呼吸が整った頃、優輝くんが嬉しそうに笑った。


細められた瞳に思わず、ドキンと胸が高鳴った。





「聡子さん、これつけてくれない?」



優輝くんはリビングに放り出されていた自分のカバンから小さな箱を取り出した。


目の前で開かれたその箱には細身のシルバーのリングが輝いていた。




そういえば、優一さんからは

指輪をもらったことってなかったな・・・・



そう思いながら、自分の両手を見つめる。




「だめ?俺のものって印つけときたいんだけど」


優輝くんはラグに寝転がったまま、私の肩を抱き寄せ

私の髪にキスをした。



「えと、じゃあ・・」


なんだか照れくさくて、どこの指につけたらいいのか迷ってしまう。
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