雨の中にたたずんで

「・・・優輝くんが好き」



私は思わず言葉を漏らした。





あの日から、私が優輝くんに一度も伝えていなかった言葉だった。






「・・・本当、に?」





優輝くんも驚いた顔で私を見つめる。





私は、そんな優輝くんにそっと微笑み返し


まるで誓いの言葉のようにこう言った。




「私、初見聡子は病めるときも、健やかなるときも

生涯、雨宮優輝を愛していくことを誓います」



優輝くんは言い終わるか、終わらないかのうちに

傘を手放し両手で私を抱きしめた。
< 58 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop