雨の中にたたずんで
雨はすでにあがっていて、青空から光が差し込んでくる。
「あ、虹」
優輝くんの腕の中から空を見上げると、大きな虹が姿を現していることに気づき
私は思わず、大きな声をあげた。
優輝くんもゆっくりと顔をあげ、振り返って虹を仰ぎ見る。
ねえ、優一さん
優一さんはあの虹の向こう側で見守っていてくれるよね
真っ暗な雨雲の中で出会った私たちだけど
これから、明るい世界に飛び出していくから
だから、嫉妬しないで私たちを見守っていてね
私は指輪をつけている左手を優輝くんの右手に絡めてそっと握り締めた。