恋結び【壱】
―――……
遡ること、一ヶ月前。
三人家族をまとめる食卓。
いつものように夕食を食べる。
その頃あたしはまだ高二だった。
あたしの高校は、女子高校で、頭の良さで学年が分けられる。
頭が良ければ良いほど、跳び級できるし、頭が悪ければ悪いほど留年していく、そんなシステムになっている。
自慢じゃないけどあたしは毎回学年トップにいるからそんなにも留年の心配はいらない。
だからまた4月から楽しく、愉快な生活が送れる♪―――はずだった。
なのに…。
「はぁ!?婚約者!?」
目の前にいるお母さんはとんでも無いことを言う。
私は机をバンッと叩き、立ち上がる。
「嘘なら許してあげるよ」と、私はお母さんに言った。
だけどお母さんはニコニコ笑うだけ。
“婚約者”とは、結婚、人生を共に歩んでいく、あたしにとっては“ダンナ様”に当たる人物。
そんなに大事なことを親は勝手に、あたしに突き付ける。
すると、お父さんが語り出す。
「お相手はなぁ、美月―――」
「信っじられない!!」
あたしは弱々しく言葉を並べるお父さんを力一杯睨む。
「だいたい、もう少し早く言ってよね!お父さん達はあたしの気持ち、考えないの?」
あたしは立ち上がったまま、片手に拳をつくる。
そんなあたしを見たお父さんは、コホンと咳払いをして口を開く。
「お相手はなぁ――」
「またかよ!!」
「さっきのあたしの言葉、聞いてた!?」と呆れ半分に言葉を吐いた後、私は静かに腰を下ろした。