恋結び【壱】
しばらくしたら、食器と食器のぶつかる音が翔太くんの足音と共に、こっちへ向かってくる。
なんだろう…。
翔太くんに目を向けると、木材のおぼんを持っていた。
あたしは座っているため見上げる状態だったから、おぼんの上が見えない。
「お待たせ」
翔太くんはあたしの横に座り、あたしにあるものとスプーンを渡した。
「翔太くん?」
「何?」
笑顔で翔太くんはあるものを口へ運ぶ。
「これは…」
「あ、もしかして知らない?」
コクンと頷くあたしに「ごめん」といい、説明をしてくれた。
「これは、白玉だよ」
「白玉…」
「そう」
白玉って、聞いたことがあるけど、見たこと無かったんだよね。
“白い玉”って。
そのままだね。
白玉にあんこがかかっていて、くりにホイップクリームが載っていて、抹茶のムースも載っている。
まさに“和”のスイーツ。
あたしは口に白玉を運んでみた。
「ん~~っ!!」
口の中に広がる甘いあんこ。
モチモチとした白玉によくあっていて。
「美味しーい!!」
「だろ?」
翔太くんは自慢気に言う。
でも確かに美味しいから、見逃してしまう。
「こうゆう、和風のデザートをね、“甘味”って言うんだよ」
「“甘味”ねぇ…」
まぁ、名前なんてどうだっていいや。
だってあたしは、その“甘味”に夢中なんだから。
あたしはまるで子供のように、白玉を頬張ると、翔太くんは不機嫌そうに、あたしを見た。
「……そんなに白玉に夢中になるとは…、思わなかった」
「失態」と、溜め息をはく翔太くんにあたしは口にまた、白玉を運ぶ。
それを見て、眉をピクッとする、翔太くん。
「…俺もかまって…欲しいのに…」
翔太くんは呟く。