恋結び【壱】
「え…?」
「あっ…いや……その…!!」
目を開き、顔を真っ赤にさせ慌てている翔太くん。
何故だろうか。
あたしはさっきの翔太くんの言葉と今の表情を考えてみた。
『…俺もかまって…欲しいのに…』
ドックン。
胸がビックリするくらいに、跳ね上がった。
あたしは白玉を食べ、美味しいと笑顔になって、夢中になった。
その事で徐々に不機嫌になっていた翔太くん。
それって、それって…。
「……ヤキモチ…?」
「~~~~っ!!!」
白玉にヤキモチ。
「あはははっ」
翔太くんの嫉妬深さに、思わず笑いが込み上げてしまった。
それに反応して、真っ赤な顔で必死に睨む翔太くん。
「…何が…可笑しい…んだよ」
翔太くんの顔は赤くなる一方で。
あたしは笑うのを止め、微笑んだ。
「…ヤキモチ…っぷは」
あたしは言いかけたところでまた笑ってしまった。
それに翔太くんは耐えきれなくなったのか、顔を真っ赤にしながらあたしを無理に、抱き締めた。
「ひゃっ!!」
ガシャン、と。
音を立てて白玉の入ったガラスの入れ物とスプーンが縁側の下に落ちていった。
「…翔太くん!?」
翔太くんの顔があたしの肩に埋まる。
そこから伝わる、翔太くんの熱。
そのまま、動かない翔太くん。
「えっと…」
「…んだよ」
「え…?」
「…好きなんだよ…バカ…」
トクン。
あたしの胸は高鳴った。
こここここの人は、何を言っているんだ!!!
恥ずかしくなっちゃうよ…。
あたしが…。
この時間が永遠ならいいのに。
何も無くならないで、このまま。
“甘味”のような甘い時間が。
だけど。
翔太くん。
ごめんなさい。
あたし、今日の出来事、全部。
遥を重ねてた。
遥がこうならな、と、ずっと思ってた。
あたし、欲張りだよね…。
今日の空は青く澄みきっていて、美しい青に染まっていた。
絵の具のように。