恋結び【壱】
熱い。
触れたところから熱が出る。
目の前に遥の綺麗な顔がある。
そして一瞬、思う。
ずっと、このままがいいのに。
やがて唇は離れ、吐息が漏れた。
だが遥は余裕そうな顔で、言った。
「これで終わりだなんて、思ってないよね?」
「え…?」
そしてまた唇は塞がれる。
熱い、遥の唇が。
唇を割って、熱い何かが入り込む。
「…ん」
それはあたしを味わうように優しく、だけど激しいものだった。
静まったこの道に響き渡る水っぽい音。
あたしはただ遥に身を委ねたまま否定はしなかった。
そして最後に優しく、深い口付けを。
「美月の味がした」
「…」
あたしは鳴りっぱなしの胸を疑う。
初めてだった。
こんな口付けは。
怖かったけど、嬉しかった。
何となく、遥を感じれた気がするから。
「…感じたよ」
「ん?」
「…今のでもっと遥を感じれた気がする」
「っ」
あたしは少し熱を持った瞳で遥を見た。
「…反則」
更に力を入れ、抱き締めた遥。
「…離したく、ない…」
遥の声は震えていて、あたしは少し疑った。