出会えてよかった[短]
深く深く落ちていく。


真っ暗で、落ちている感覚だけで私は自分の状況を把握している。


いやっもしかしたら、飛んでいるのかもしれない。


いつになれば光に当たれる?


私はいまどこにいるんだろう。

誰かの声が聞こえる。


「久しぶりだね葵…見つけたんだね…でも…ごめんね…運命は変えられなかった…」


和美…?


どうしたの?


泣きそうな声だして。


それに…見つけたって?


…あれっ誰かいる。


おまわり?


美紀?


明美?


遠くで音楽がなっている。


夢か…。


誰だよ朝っぱらから。


着信の相手は明美だった。


「何だよ。」


「不機嫌だね〜そんなことより大変だよ。おまわりが怪我して病院に運ばれたの。」


私は急いで着替えて病院へ向かった。


明美の話では、美紀を迎えに行く途中、救急車へ誰かが乗せられるのが見えたらしい。


その横顔がおまわりにそっくりで、急いで駆けつけると、それはおまわりだった。


明美は急いで救急車に一緒に乗って私に電話してきた。


夢で聞いた声を思い出す。


ーごめんね。運命は変えられなかった…ー


嫌だ。


ありえない。


お願い。
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