桜の追憶  短編
そして、歩きながらゆっくりと、総司の言葉を胸で反芻する。

「僕は何処に居ても君の幸せを願っている。君が、笑顔で生きていけることを望んでいる。・・・・か・・・。」

あの時はわからなかった総司の気持ち。

だけど、今ならわかる。

わかるけど、でも・・・

私の気持ちはどうしてもそこで止まってしまう。

叶わない夢を見るのは私の自由でしょうか?

願いがかぬならば、もう一度、あなたに逢いたい。

あなたと過ごした日々、みんなとの思い出の日々に戻りたい。

そう、願ってしまう。

過去を懐かしむことは誰にでもあるのではないだろうか?

「そろそろ、進まなきゃ・・・」

私は何度も胸の内で繰り返してつぶやいている言葉を口に出す。
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