桜の追憶  短編
私はゆっくりとあの、みんなの姿を見たような気がした桜の木の下に向かう。

また、みんなが見えるんじゃないかって思って。

だけど、歩いていくとだいたい6人くらいの人が立って桜を眺めていた。

「先客かあ・・・」

私は気分的に一人で桜を眺めたかったので、その人たちの横を通り、後で見ようと思いまた歩き出す。

今からどこに行こうかな?

そんなことを考えながらその人たちに近づく。

その人たちの身長だけ見ると新撰組のみんなを思い出した。

そういえば、よくみんなもこうして桜を見ていたなあ。

そんなことをしみじみ考えていた。

「やっぱり今年もここに来たのか。」

すると突然誰かが、こちらに向かって話しかけてきた。

「え?」

私は驚いてその人たちのほうへ顔を向ける。

だって、今の声って・・・

「ひ、じ・・・・かたさん?」

おもわずつぶやいてしまい口を慌ててふさぐ。
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