桜の追憶  短編
そんなわけないのに。

第一本当に私に話しかけたのかわからないのに答えちゃうなんて!!

恥ずかしくて下を向いたまま足早にそのばを通り過ぎようとした。

「お前どこ行くんだよ!」

そういって手を引っ張られた。

「え・・・・?」

う、そ・・・・

目の前にいる人たちは、現代の人。

だけど、その顔は・・・・

新選組のみんなだった。

「う・・・そ・・・・み、んな・・・・?」

「ああ、そうだよ。」

私の手を掴んでいる人、土方さんがゆっくりと穏やかに微笑んで頷く。

「土方さんですよね?」

私は手を掴んでいる人を見る。

「ああ、そうだ。やっぱり朝霧は優秀だな。」

「っ!!」

その手の温かさはやっぱり本物の土方さんだった。

「なんだ、また泣いてるのか朝霧?」

私に優しく微笑んで気遣ってくれる原田さん。

「久しぶりに朝霧君の笑顔が見れるとおもったんだけどなあ・・・悲しいときは散歩するといいんだぞ?」

楽しそうに散歩を進める近藤さん。

「また、元気出るように稽古つけてやろうか?」

無邪気に微笑みピースをする、平助君。

「今度こそ飲むか?」

また飲みにさそってくる新八さん。

「また、一緒に料理を作るか?」

昔と変わらぬ冷静さだけど、穏やかな顔で微笑む一さん。

「っみんな・・・・」

おもわず私は涙を流す。
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