Whisper.
「あの時と同じ…19時」
あの時私がここで雨に濡れてなかったら
健太に逢えていないんだ。
そんな事を考える。
あの時だって、私は愛されてなかった。
だけど、私が欲しかったのは愛じゃない。
ただ、誰かソバに信頼できる人が
いて欲しかっただけなんだ。
ただ…それだけなんだ。
「…おい、風邪引くぞ。」
まただ。
同じ声、同じ言葉。
「来た」
「家にかけても出やしないし携帯だって出ない。」
周りからしたら、これはカノカレって
言うのかな?
「ごめんね、久しぶりに待ちたかった。」
「…そっか」
なにも聞かないのも健太の優しさ。